農は人にあり

アマワラビ栽培 NPO法人小田切オアシス 酒井昌之さん vol.382

平成27年6月1日掲載

アマワラビはアクが比較的少ないワラビです。とかくワラビは調理の時にアク抜きがたいへんだということが多いのですが、アマワラビはアクが少なく、調理しやすいことで人気があります。そもそもこのアマワラビは11年前に実験農場として導入されたものですが、5年前にこの10アールの耕作放棄地を復元しアマワラビを移植しました。5年をかけてこの状況になりました。先日は善光寺御開帳に出店して40袋が売れたことはとても嬉しかったです。

ここは標高約1000Mあります。ここで育つワラビはやわらかでノリがあり、アクがすくないので人気があります。ぜひ皆さんもお召し上がりください。昨年、22アールの耕作放棄地を整備復元して、今年の春、新たにワラビの苗を植え付けました。3年たったら供給可能になると思います。市民の皆さんに楽しんでいただきたいです。

パプリカ栽培 渡辺 浩さん vol.381

平成27年5月25日掲載

「川中島の渡辺浩です。50才代で会社勤めをやめ、最初はえのき茸を栽培しました、それは12年ほどやって、キノコが低迷したので、すぐに桃とプルーン、野菜作りにきりかえました。現在はパプリカをやっています。最初は農業用ビニールハウス3棟でやっていたのですが、数が多いと販売に手が回らず、いまは1棟で栽培しています。

JAグリーン長野で10年以上前に、その栽培の指導があり、皆いっせいにやったのですが、その年に成功したのは少なかったです。最初は20名ほどが参加していましたが、現在は2軒になりました。わたしはたまたま直売に出していたのでお客さんに好評で栽培を続けています。そしてノウハウも最初から蓄積できていますので、いまは自分になりにいいものを出せるようになっています。これからも健康のためにも体が続く限り一生懸命にパプリカ作りをやっていこうと思います。」

イチゴ新品種「桃薫」(とうくん) 岡田敬司さん vol.380

平成27年5月18日掲載

4年前にある商談会で「桃薫」という新しいイチゴに出会いました。この品種は国の試験場が育成した新しいタイプの品種です。イチゴは赤いのが普通ですがこの品種はピンクです。しかも桃のにおいと香り、味がする品種です。まったくいままでのイチゴのイメージをくつがえす品種です。この品種を食べたときに新しいイチゴの商品が生まれる感じがして、この品種を取り入れることにしました。4年前に5株親苗を買って、それから増やし、今年は1200株、このハウスで栽培しています。

消費者は常に新しいものを求めると思います。この品種は全く新しい食感と風味のあるイチゴです。毎年同じものを上手につくることも確かに大事なことなんですが、消費者に新しいものを提供することで販売先も広がりますし、商品も拡大するんじゃないかと思います。

クリエイティブなりんご栽培 島田賢司さん vol.379

平成27年5月11日掲載

リンゴ栽培をやりはじめて4年目になります。過去3年間をふりかえってみると年々いろいろな災害、気候変動などあって毎年いろいろ課題がみえてくるのもクリエイティブな仕事のひとつなのかなと思います。リンゴのいろいろな可能性をみつけることでジュースやシードル、化粧品などにも、いろいろな人と協力して開発をすすめています。

農業というと一般的には土を耕し外で手ぬぐいをまいてというイメージがありますが、ぼくはいろいろな業種の人と関わっていろいろなものを化学変化として出していけたらと思っています。いま32歳ですが、今後30年、40年とやっていくなかでリンゴの持つ可能性、他の人との化学変化をいろいろな形でみつけていけたらと思います。

<島田賢司さん>

30年のアスパラガス栽培 山内ちづ子さん vol.378

平成27年5月4日掲載

山内ちづ子さんが農業用ハウスを建ててアスパラガスの栽培を始めてからおよそ30年。山内さん40代のころでした。最近では定年退職した夫が手伝ってくれますが、それまではひとりで他の野菜とともに栽培していました。栽培当初は農協の指導でたっぷりの堆肥をつかった土づくりからスタートしました。4月に入るとアスパラガスの成長に追われるように忙しくなり、収穫は毎朝。

穂先がまっすぐで、開いていないものが収穫最適時ポイントです。日々の仕事をコツコツと積み上げて、収穫できるのが何より嬉しいそうです。毎日一所懸命働いてズクさえだしていれば、必ず現金収入につながるのが励みとなっています。

りんご栽培 塚田知雄・みさおさん vol.377

平成27年4月27日掲載

長野市安茂里。国道18号の北側の山間に塚田知雄さんとみさおさんが栽培しているりんご園があります。あたたかな春の日差しをうけて開花をむかえています。開花から3日目ごろからが受粉に最適といわれていて、風のない朝のうちに受粉作業をおこないます。実の形の良し悪しは花粉つけによって決まるそうです。

良いりんごをつくるために手まめな作業が必要とされます。冬からはじまる剪定作業、春になり花蕾ができると摘花をします。摘花は数個の花蕾のなかで中心花だけを残します。そして摘果。袋掛け、消毒、葉摘み、玉まわし、と手間がかかるのがりんご栽培。

みさおさんは日々の作業に追われながら「JAながの」の経済担当の女性理事として活躍してます。

農機具の鍛治職人 関崎和雄さん vol.376

平成27年4月20日掲載

長野市信州新町。関崎和雄さんはこの町でただひとりの鍛冶職人です。昭和7年生まれ。子どもの頃、鍛冶職人だった義理の兄が一本の鉄の棒をピカピカの包丁につくりあげることに驚きました。和雄さんも鍛冶職人になることを決意。中学を卒業するときに担任の先生に鍛冶屋になる相談をしたところ、「それでくっていけるはずがない」と大反対されました。それでもその反対を押し切って鍛冶屋に弟子入りして20才まで奉公して技術を習得。3才下の松子さんと結婚してからは夫婦2人で朝早くから夜おそくまで一生懸命働きました。臨月でも我慢強く働く松子さんに和雄さんは励まされたそうです。

10年程前から地元の直売所の店頭に製品を並べるとお客さんから様々な注文がくるようになりました。自分の仕事が人に喜んでもらえる事が嬉しく、楽しみながら仕事を続けて行こうと考えています。

松代一本ネギ 児澤融さん vol.375

平成27年4月13日掲載

長野市松代町。児澤融さんは松代一本ねぎの栽培に取り組んでいます。「家の光」5月号の記事によると、ねぎは薬味や和風料理に最適で、ビタミンCのほか、硫化アリル類が豊富で、食欲増進、血行促進、ビタミンB1の吸収を高めるなどの作用が期待できるそうです。

作家・池波正太郎は「男の作法」ですき焼きとねぎについて次のように紹介しています。割下を沸騰させて肉を入れ、さっと火が通ったら食べるのが美味しい食べ方で、肉の旨味が出たころ、ねぎを入れる。入れる野菜はねぎのみ、豆腐やしらたきなど水分が出るものは入れない。。さらに、ねぎは斜めに切らず、まっすぐ切る。素材の味を引き出す究極の食べ方です。

有害獣防除 小松安男さん vol.374

平成27年4月6日掲載

長野市大岡。小松安男さんと山﨑薫さんは耕作農地に入り込む有害鳥獣からの被害を最小限に食い止めようとしています。長野市では平成23年度の鳥獣による被害は、獣害ではイノシシ2500万円、シカ1100万円、ハクビシン582.5万円となっています。鳥害ではカラスが最も多く、鳥獣害全体で被害金額は約7800万円、面積では約1000ヘクタールとなっています。農作物の被害は拡大する一方です。種まきや苗の植え付けをしても、ほとんど被害にあってしまうために野菜や穀物を作ることをやめてしまう農家が増えてきています。

大岡地区でも駆除頭数が増加しています。小松さんと山﨑さんはケモノ道に定期的にワナをしかけて見回りをしています。有害鳥獣の被害を最小限に食い止めないと大岡の農業が成り立たなくなってしまいます。

アスパラ栽培 菊地幸子さん vol.373

平成27年3月30日掲載

長野市豊野町。菊地幸子さんは嫁いで以来30年、アスパラ栽培をずっと続けてきました。いよいよ3月から出荷がはじまりました。毎日夕方に収穫をして、それを家に持ち帰り商品として整えて翌朝出荷しています。アスパラの生育と追いかけっこするようにして忙しく収穫をしています。夫はぶどうの栽培に心血を注いでいて他県まで指導に行く事も多いそうです。息子さんもこれから就農することがきまっているそうです。家族全員がそれぞれ農業と向き合う専業農家です。

アスパラは、穂先がまっすぐで、開いていないものがいいそうです。菊地さんの忙しい春が始まっています。

雪中リンゴ グリーンながの 営農部 vol.372

平成27年3月23日掲載

JAグリーン長野は大岡で1月中旬に雪をかぶせて貯蔵していたリンゴ80ケース(1ケース約18キロ)を掘り出しました。雪中で保存することにより、一定の温度と湿度が保たれ、リンゴ本来のみずみずしさと香りが保たれ、さらに甘みが凝縮するといわれています。

この日、営農部のスタッフが重機とスコップで汗を流しながら掘り出し作業をしました。丁寧に雪をどけて、ビニールシートを少しずつ開いていくと「シナノゴールド」と「サンふじ」が2ヵ月ぶりに掘り出されました。冷蔵庫での貯蔵と違った食味の良さがあるでしょう。雪の中でじっと春が来るのを待っていたリンゴは春先の目玉商品として販売されます。

「雪中埋蔵リンゴ」がどんな気持ちで春を待っていたのか味わってみてください。信州の春を告げるリンゴです。

発酵モミガラの桃づくり 近藤 近さん vol.371

平成27年3月16日掲載

長野市篠ノ井。南長野運動公園の南側に近藤さんが丹誠込めて農業と向き合っている畑があります。近くの産直コーナーにその日にとれた野菜を出荷しています。その野菜売場に近藤さんは農業にむけた思いを書いています。

「私の家で作ったものをお買い上げ下さった方々からおいしかった、うまかったと言われる様に、家では動物性のものをまぜた手造り堆肥や体のためになる微量要素(ミネラル)を含んだ資材など自然の肥料だけで作物を作っています。一度味わってください。」

近藤さんは畑の隅でモミガラと米ぬかを混ぜて発酵させ、その上に魚のアラや野菜クズをのせ、その上にまたモミガラを重ね、それを毎日繰り返して堆肥を作っています。発酵モミガラは近藤さんのもも作りの基本です。

ふきのとう 青木忠重さん vol.370

平成27年3月9日掲載

あたたかい日差しがあたる長野市七二会地区の南斜面に春の兆し。冬の眠りからさめたふきのとうが頭を出しました。あたらしい春の到来を告げています。青木忠重さんは毎日この畑を訪れ、元気なふきのとうの成長を楽しみにしています。忠重さんの父親が植え付けたフキは毎年増え続けているそうです。手入れは草刈りぐらい、自然のままに育てています。50グラムずつパックにつめて出荷しています。今月末まで続きます。

ふきのとうはふき味噌が好きという人も多いのではないでしょうか。作り方はいたって簡単。洗ってから水に浸してアクを抜き、水気をとってからサラダ油で炒めて、味噌と砂糖、みりん、酒で味つけすると出来上がり。春の香りがにぎやかな食卓にしてくれるでしょう。

さらに簡単で美味しいのが天ぷら。青木さんのおすすめです。

豆菓子・味噌 村上広子さん vol.369

平成27年3月2日掲載

長野市松代町。村上広子さんは70才になった時に、経営していた自動車会社を子どもにまかせ、5年前に近くの畑を借りて大豆栽培をはじめました。草取りに追われながら豆づくりに励んでいます。

その仕事を手伝ってくれる人たちと「まめまめクラブ」を結成して、仲間と一緒に汗を流しています。信州新町の老人福祉施設も手を貸してくれます。いっしょにやろうとみんなが手伝ってくれる、仕事をさせてくださいと手を差し伸べてくれる、苦労もやりがいも、喜びも分かち合える仲間が村上さんのいちばんの財産になっています。ひとりひとりが「大豆の力」を実感しています。

村上さんは仲間に宛てた手紙に次のように綴っています。「自然の恵みと人間は生きていくのです 太陽の暖かさ、大地の恵み等々、大豆を作って、じょうずにしっかり作って皆でかせぎましょう」。

わい化リンゴ 笠原節雄さん vol.368

平成27年2月23日掲載

長野市檀田。住宅地の中に笠原節雄さんのりんご畑があります。まだまだ雪が残る陽気のなか剪定作業に取り組み始めました。笠原さんは86才。りんごにかける情熱は衰えません。4年前新わい化栽培に転換しました。高齢者には脚立を使っての仕事が困難になります。作業がし易く、管理がし易いわい化栽培の研究が進んでいます。新わい化栽培は早期多収、均質生産、省力化が可能となります。その普及はこれからのりんご栽培存続の基本となるものかもしれません。

笠原さんは一本一本丁寧に剪定を進めます。「剪定で陽当たりさえ良くしてやればとても育てやすく、量もとれるし、病気にも強い」。夫婦のりんご作りは長寿の生きがいとなっています。

西山大豆豆乳ドーナツ 道の駅 中条 vol.367

平成27年2月16日掲載

長野市中条。長野大町線沿いに「道の駅中条」があります。田園風景が広がるなかにあり、アルプスの眺望が楽しめる抜群のロケーションで、多くの利用者でにぎわっています。

郷土料理の「おぶっこ」と「おやき」が定番ですが、あらたに人気商品が誕生しました。1月17日から販売がはじまった「西山大豆豆乳ドーナッツ」です。地元の大豆を100%つかっています。いまは土・日曜日のみの販売ですが、3月からは毎日店頭にならびます。さっぱりとしてふわふわ感覚が人気です。ドーナッツをゆっくり楽しんでもらうカフェの併設も計画されています。

将来は「地元農産物を使い、お菓子職人を育て、カフェの運営や企画、広告、デザインといった様々な分野で若い人たちのコミュニティからなる第6次産業も構築していきたい」。

多品目野菜ハウス栽培 武田辰夫・昌子さん vol.366

平成27年2月9日掲載

武田辰夫さんが住む長野市若里地区は世帯数がおよそ2800世帯の住宅地です。かつては水田がひろくひろがる地域でした。また、養蚕もさかんに行われていました。1998年の長野オリンピックで競技会場が建設され風景が一変しました。

武田さんは農業用ハウスで野菜を栽培しています。量よりも品目にこだわって栽培しています。冬の時期はあまり出荷するものがありませんが、長ネギやほうれん草を近くにある大型スーパーの産直コーナーに毎日出荷しています。武田さんは6年ほど前に会社を退職して第2の人生として夫婦2人で農業をやっています。野菜のほかに大豆島で米をつくっています。

「今の形でできるだけ長くやれればいいと思っています。1日の売上げ目標は1万円です。元気でやっていきたいと思います。」

<武田辰夫さん>

無添加ストレートのリンゴジュース 田中弘実さん vol.365

平成27年2月2日掲載

長野市赤沼はりんごの産地です。田中弘実さんは代々継がれて来たりんご農家です。夫婦でりんごを栽培するほか、トルコギキョウをハウス栽培しています。

田中さんは全国で個人として初めて農林水産省に品種登録した信州りんご「恋栞」を開発しました。果実は手のひらにすっぽりおさまるほど小さく、酸味が強く、そしてなにより果肉が赤いのが特徴です。トルコギキョウを栽培し続けてきた知識と技術によって生まれたそうです。

「恋栞」を原料にしてジャム、ジュース、シールドを商品化しました。ジャムは「抵糖で果実分を85%と濃厚に仕上げたくせになるジャム」でジュースは「酸味の後に甘味を感じる爽やかなあきない味です。酸化防止剤を使用していない搾ったままの無添加ストレート100%」です。どちらも「アグリながぬま」で販売しています。ご賞味ください。

ホーレンソウ 清滝真彦さん vol.364

平成27年1月26日掲載

長野市篠ノ井杵淵の清滝真彦さんは地元篠ノ井地区の若き農業者です。農業に夢を抱き、その魅力を引き出そうと努力を惜しみません。

「苗をつくっていますが、見た目がきれいとか、たくさん実がなるとか、病気になりにくいとか、この苗を買ったおかげでいい作物ができたとお客さんが思ってくれる、そのようものをつくりたいと、ひとつぶひとつぶ種を播いて、芽がでたらポットに植えかえて、水をくれ、それではじめて、お客さまの手元に届く、その流れのなかで、そんな思いをこめながらつくっています。家では大玉のトマトをつくっていますが、冬の間はホウレンソウや冬の野菜をつくっています。苗作りだけでは収入が少ないので、夏場は農業機械のオペレーターをやっています。それが地域の役にもたっていると思います。あと何十年生きるかわからないけど、その何十年先のことを考えながら、これからもやっていきたいと思います。」

えのき栽培 野中敏光さん vol.363

平成27年1月19日掲載

1930年代はじめ松代町で、えのき栽培がはじまりました。いまは、ほとんどが人工的に栽培されていますが、その頃は、天然のえのき茸をビンの中で人工栽培することが農家の副業だったそうです。現在は冷房施設のある工場で大量に安定的に栽培されています。野中敏光さんの「野中きのこ園」では、室温6度に設定された抑制室で生育する力をじっくり蓄えながら育て、およそ48日後に200グラムに包装して出荷します。えのきは「いのちだけ」とよばれるほど作業は多忙です。つねに生長しているため1日として仕事を休んだり手をぬくことはできません。栽培室はつねに整理整頓されていて、クリーンな環境で安全安心なえのきが生産されています。

しょうゆ豆 酒井酉子さん vol.362

平成27年1月12日掲載

「しょうゆ豆」は長野地方につたわる伝統的な発酵調味料です。長野市信州新町の酒井酉子さんがつくる「しょうゆ豆」が人気です。祖母がやっていた「しょうゆ豆」づくりを酉子さんが引き継ぎ、自家用として見よう見まねでやっていたところ近所近在から頼まれるようになりました。およそ5キロの大豆を2段に重ねた蒸し器でじっくり蒸してつくります。酒井さんによると、大豆をよく洗い丁寧に蒸すことが基本だということです。そして微生物の力をかりて発酵させて、旨味と栄養価を高めます。

「しょうゆ豆をつくっているときは、ぜったいに納豆は食べない、他の菌に接することは御法度です、それほど菌は敏感なんです」と酉子さん。およそ32度に保温をして寝かせ1日2回やさしく手をいれて見守ります。手入れを怠ると雑菌が発生して糸をひいてしまうそうです。本物の手づくりです。

ハウストマト 北澤篤史さん vol.361

平成26年12月29日掲載

長野市松代町清野。農業用ハウス栽培がさかんに行われている地域です。北澤篤史さんは平成25年7月に就農しました。36才、駒ヶ根市出身です。以前は農業法人に勤めていました。8アールの農業用ハウスでおよそ2000本のトマトを栽培しています。ハウスは室温25度から30度に設定されていて、マルハナバチが花のおしべに噛みつき花粉を集めていました。噛んだところは茶褐色に変色します。これがバイトマークです。収穫時期は11月から今年の6月まで。

「うまくて安全で安心して食べられる」農産物を消費者に届けることを目標にしています。「農業で安定した生活が営める」。これが北澤さんの当面の目標です。

しめ飾り 松木芳男さん vol.360

平成26年12月22日掲載

長野市若槻。若槻小学校の子どもたちの元気な声がよく聞こえる作業場で松木芳男さんは熱心にしめ縄を作っています。使っているのは今年の田んぼの稲わらです。昔はどの家でも正月をむかえる頃になると、しめ飾りや門松をつくり、お正月の神様を迎える準備をしました。しめ縄はその年の実りをもたらしてくれた「わら」で心をこめて丹念につくられました。そして、仏壇、かまど、神棚、床の間など家のあらゆるところに飾られました。

松木さんは稲わら一本一本、ヒゲを取りのぞき、きれいにした78本の束を3束つくり、それを丁寧に編んで行きます。松木さんの一つのしめ縄は234本でできています。なんども試行錯誤して末の本数。松木さんのこだわりです。来る年の希望を願ってわらをなう。忘れてはならない、正月行事です。

綿内蓮根 大峡良平さん vol.359

平成26年12月15日掲載

長野市若穂綿内は「綿内れんこん」の産地です。きれいな花を咲かせる蓮の根茎の部分が「れんこん」とよばれて、食用としています。ここの土がとってもやわらかいので、れんこんも歯にやさしくて、おいしくて、「幻のれんこん」と呼ばれています。

大峡良平さんは10代の頃かられんこん栽培にたずさわってきました。大峡さんの手の指は太く、若いころは腕力ではだれにも負けたことがなかったそうです。寒い季節に泥の中から掘り出す厳しい仕事です。

12月、暮れの季節がれんこんがもっとも旬となります。なぜ、この季節がれんこんが旬なのか?それは、れんこんの穴にありそうです。昔の人はその穴から新しい年の希望を見ていたようです。来年こそはきっといい年がくるはずだ、こんなことがありそうだ、そんな思いを、この、れんこんに願っていたのかもしれません。

ネギ 新井丈夫さん vol.358

平成26年12月8日掲載

長野市戸隠栃原。山中にあってなだらか丘のような土地です。鬼女紅葉の菩提寺である大昌寺があります。北には伝説の舞台である荒倉山がそびえています。栃原の標高はおよそ800m。ここの3地区の有志が「鬼女紅葉の里荒倉直売グループ」をつくり収穫した野菜を市街地にある3カ所のスーパーで販売しています。

メンバーのひとり新井丈夫さんはネギを栽培しています。品種は「夏扇パワー」。3月1日にハウスでタネをまき、育苗して、5月初旬に畑に植えたものです。種苗会社のサイトでは「夏扇パワーは夏秋および秋冬どりに適する適応作型の広い黒柄系一本ネギで、 太りが非常によく、従来の黒柄系よりは低温伸長性のある多収品種」と紹介されています。

長芋 真島敏範さん vol.357

平成26年12月1日掲載

長野市松代地区は長野県を代表する長芋の産地です。岩野地区の千曲川沿岸では長芋の収穫がさかんに行われています。千曲川が氾濫するたびに肥沃な土壌となり、良質な長芋ができるようになりました。資料によると、昭和54年の長野県下の作付面積は610ha,収穫高1万4640tで、全国生産の11,1%を占めたそうです。

真島さんの畑では5月に植え付けした長芋の収穫最盛期をむかえています。松代の長芋は甘くて粘りが強いのが特徴。長芋は究極の食材といわれビタミンがバランスよく含まれ消化酵素もたっぷりで、滋養強壮の効果が高く疲労回復に最適と言われています。

ごぼう 小山進さん vol.356

平成26年11月24日掲載

ゴボウは今が旬。長野市松代町。千曲川が長い年月をかけて耕した肥沃の土地が川に沿って伸びています。小山進さんは定年前に退職し、両親が耕していた土地を継ぎ農業に取組みました。いまの時期はゴボウの収穫に追われています。

ゴボウ抜きという言葉がありますが、収穫作業は”抜く”ものではなく”掘る”作業。小山さんは根気よくスコップで穴を掘ってゴボウを収穫します。これらのゴボウは5月25日に植え付けたものです。収穫は年内いっぱい続きます。ちょっと大きなものが2本でおよそ500グラム。500グラムごとに出荷しています。千曲川の恵みによる肥沃で石粒の無い土地ならではの特産です。

りんご栽培(ふじ) 青木保さん vol.355

平成26年11月17日掲載

長野市の東方、西斜面に広がる標高500~600m程の扇状地が山新田です。寒暖差のある気候と水はけのよい土地がりんごの味を鍛えあげます。山新田は明治は蚕、大正は葉タバコ、昭和にはいってホップが栽培され、戦後からリンゴの生産がはじまったそうです。約40軒の農家がリンゴをつくりそのほとんどが兼業だそうです。りんご栽培有志が「エコピカクラブ山新田」というクラブを結成してりんご栽培の向上をめざして熱心に取り組んでいます。

村中に坂道があるから、そしてリンゴを毎日食べているから大病なし。「村中でリンゴをつくって健康です」とエコピカクラブ青木保さん。そして「わたしたちは愛をこめて、ひとつひとつのリンゴをつくっています、山新田のおいしいりんごをブランドにします」。

11月30日(日)にエコピカクラブ山新田が主催する「山新田ふじ祭り」が山新田公民館前広場で開かれます。

標高900Mの野菜づくり 青木彰子さん vol.354

平成26年11月10日掲載

青木彰子さんは毎日、大岡にある実家に通って両親といっしょに農業に取り組んでいます。大岡の標高は約900M。彰子さんの父・英さんはその高地を利用して「聖甘藍」として名が通っていたキャベツを中心に白菜、セロリーなどを栽培してきました。いまはそのほかに米、りんどう、小菊などをつくっています。両親はともに80才代、いまも元気いっぱいで毎日収穫した野菜を直売所に運んでいます。

英さんは父親が60才で倒れてから、それまで働いていた農林関係の研究所を退職して、家の農業を継ぐために郷土・大岡に帰ってきました。彰子さんは両親と毎日仲良く農と向き合っています。

りんご栽培(ゴールド) 滝沢景文さん vol.353

平成26年11月3日掲載

長野市篠ノ井共和。有名なりんごの一大産地です。滝沢景文さんは両親が残したりんごの成木を4年前に引き継ぎました。広さはおよそ5反歩。りんごと暮らす一日、一年です。長野県のリンゴ栽培はおもに長野盆地に集中していて、津軽平野に次ぐリンゴ地帯になっています。そのなかでも”共和のリンゴ”は絶対的な信頼を得ています。

共和のりんご農家の思いはひとつです。この土地でできたリンゴだから、まずは地元の人に味わっていただきたい。その思いがブランドをつくり、生産者の基本姿勢がその信頼の根幹を支えています。滝沢さんたち若い人たちがあらたなる”共和のリンゴ”の歴史を刻んでいきます。

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