長野市農業公社

農は人にあり

白菜・そば 青木英さん vol.197

平成23年10月31日掲載

長野市大岡。堂々としたりっぱな茅葺き屋根の家が青木家です。青木英さんは祖父が残してくれたこの家を原形のままに残して行きたいという強い思いをずっと持ち続けてきました。

英さんの父親が60才で倒れ、それまで農林関係の研究所で働いていた英さんは長男である責任を担うために郷土に帰りました。長男が農業を継ぐのはあたりまえの時代でした。当時は養蚕がさかんでしたが、きっぱりと見切りを付けて畑を開墾しなおして、「聖甘藍」として名が通っていたキャベツを中心に白菜、セロリーなどを栽培しました。

英さんは77才。嫁いだ娘さんが毎日手伝いに来てくれるそうです。3人でやる農業が英さんにはなによりも嬉しいことでしょう。

セルリー 竹元始さん vol.196

平成23年10月24日掲載

長野市北郷。飯綱山麓にかくれるようにして緑の畑が広がっています。そして、輝くような緑が太陽の光を蓄えています。竹元始さんがつくるセロリーです。

竹元さんの父親は終戦後このあたりの開畑と一所懸命にむきあっていました。開拓の家は電灯が無い狭い作小屋のような住まい、もちろんお風呂もありません。ランプのホヤ掃除、ドラム缶の風呂に水を汲み入れることが子どもの仕事でした。父親と母親は朝早くから働きつめて、足下が見えなくなるまで働きました。子どもたちの学校は何キロも下の部落にありました。その道のりを風の日も、雨の日も、雪の日も、黙々と歩きました。子どもたちには父と母が黙々と畑を耕す背中が見えました。

農業荒廃地(枝豆) 林捷明さん vol.195

平成23年10月17日掲載

長野市七二会岩草。旧中条村との境にあり北アルプスが一望できる風光明媚な山間地域です。人口減少が続いていて10年前は130戸ありましたが、現在は78戸。

林捷明さんに大平地区を案内していただきました。ここは地区でも一番の平らな土地。かつては4町歩の土地を22軒の農家が耕していたそうです。当時は麻の栽培が盛んで、その後、桑になり、キャベツになり、カボチャになり、いまは枝豆を栽培しています。

高齢化にともなって、耕作面積はかつての何分の一。その上に野生動物の被害が甚大で、収穫を得るために電気牧柵にたよる農業になってしまいました。「それでもなんとかしたい」と林さんは一所懸命です。

リンゴ(しなのゴールド) 越川悟志さん vol.194

平成23年10月10日掲載

長野市篠ノ井小松原。共和園芸農業協同組合のもとで一致団結したリンゴ栽培の取り組みが行われています。いまは長野県果樹試験場で育成された果汁の多い中生種・シナノゴールドが収穫時期を迎えています。

越川悟志さんは6年前に早期退職して両親が守って来た土地を引き継ぎ、リンゴ栽培に乗り出しました。両親はともにいま88才。いまでも脚立にのって作業ができるほど現役バリバリです。6反歩の土地でリンゴは一通り、つがる・紅玉・秋映・シナノゴールド・シナノスイート・ふじを栽培しています。

両親から受け継いだ土地でリンゴを育て、「共和のりんご」ブランドを守る一員の誇りをしっかりと持ち続けた生き方をしたいと強く心に誓っています。

ぶどう(シャインマスカット) 小山晃一さん vol.193

平成23年10月3日掲載

長野市若穂綿内。小山晃一さんはブドウ栽培に懸命に取り組んでいます。シャインマスカットが収穫最盛期を迎えています。家族が力を合わせて育てたブドウです。毎日欠かさなかったブドウへの思いが一粒一粒の実となり、大きな房をつくりました。

シャインマスカットは青系のきれいなブドウです。気品さえ感じられる姿をしています。パリッとした歯触り。芳醇で香り豊かな食味を楽しめます。また、種無しで丸ごと食べられるのが特徴。いままでのブドウの概念を突き抜けた感激さえも味わうことが出来ます。

小山さんはナガノパープルとシャインマスカットで信州の新たなブランドづくりに取り組んでいる一人です。

ふるさとの家 水稲 吉澤政人さん・明美さん vol.192

平成23年9月26日掲載

長野市中条は山姥伝説の虫倉山のふもとで人々の生活が営まれている自然豊かな山里です。地域に伝わる食文化と村の暮らしを体験できる「ふるさとの家」が北信濃地方を中心に18軒あります。中条地区には「吉澤農園・大年」を含む3軒があります。

吉澤政人さんは会社勤めを終えてから、農業に取り組み始めて5年になります。エコファーマーの認定も受けて「環境にやさしい農業」を実践しています。また「妻にやさしい」、Loveファーマーでもあります。

農業は収支にあわないことだってあるでしょう、天候によって計画通りに進まないことだってあるでしょう、効率化が難しいことだってあるでしょう、それら、すべてを受け入れて謙虚に農業にとりくむ夫婦です。

キャベツ 横田久男さん vol.191

平成23年9月19日掲載

長野市上ヶ屋。終戦後一家9人でこの土地に入植した横田さんには忘れることの出来ない思い出がある。

食べる物がほとんどなかった。主食はモチ草だった。弁当がないので、学校は半日で帰って来た。そんなある日、村はずれの道の真ん中に新聞紙の包みが落ちていた。拾い上げてみるととずしっと重い。中には、にぎり飯が2つ。うれしかった。それを持って学校にもどった。それから2日ぐらいはお腹がすかなかった。あとで思った。あんなところに、にぎり飯が落ちているはずがない。きっと誰かが置いてくれたんだ。見るに見かねて。それでも、幼い妹たちに持って帰るべきじゃなかったのか、という思いが残った。でもそれは、食べる物がある程度満たされて来た頃で、あの時はとてもそこまで考えることが出来なかった。

空腹が辛かった。空腹を我慢して耕したこの土地を荒す訳にはいかない。

ぶどう 金井清・もと子さん vol.190

平成23年9月12日掲載

長野市豊野町で果樹栽培に一所懸命取り組んでいる金井清さんは22才の時、急逝した父親の遺志を継ぎ農業の道を歩みはじめました。父親・孝三郎さんは終戦後この地の開拓を始めました。しかし、志半ばで他界。いま、その志を清さんが追い続けています。

がむしゃらに働く清さんにとって、希望こそが唯一の鎌であり、挫折をしない忍耐こそが唯一の鍬であったのでしょう。そして、やはり22才で清さんのもとに嫁いだもと子さんは清さんの明日を生きる力になったことでしょう。

仲良く働く二人の気持ちが果樹の実りをさらに豊かなものにしています。

りんご「つがる」 高野新一・美恵子さん vol.189

平成23年9月5日掲載

長野市篠ノ井小松原。共和園芸農業協同組合を中心にりんご作りで団結している地域です。

共和園芸農業協同組合はリンゴだけの専門農業協同組合です。そもそもは昭和21年更級郡共和村に設立された共和青果物出荷組合がはじまりです。現在の組合員は350名。栽培面積は約150ha。そのうちリンゴは147haです。

高野新一・美恵子夫妻も”共和のリンゴ”を支えている一員です。結婚して36年、家族を守りながら農業に一所懸命とりくんできました。新一さんはJR長野新幹線の乗務員として働きながら、美恵子さんは夫が勤めで不在の時も一人でりんごの手入れに専念してきました。高野夫妻のような生産者の情熱が”共和のリンゴ”の絶対的な信頼を支えています。この土地の、この人のリンゴだからというファンが多い。

梨 村松啓・妙子さん vol.188

平成23年8月29日掲載

長野市豊野はナシの産地です。村松啓さんは妻・妙子さんとナシとリンゴの栽培に取り組んでいます。村松さんの農業にかける情熱は誰にも負けません。

幸水、豊水、南水の和ナシと洋ナシのオーロラをつくっています。今日も「元気でなければ農業はできない、こうやって農業が出来ることは幸せです。親に感謝です」とオーロラの収穫を急いでいます。梨は甘味があり水気があり歯触りがいいのが人気のポイント。オーロラもまた格別です。

「うまいと言ってもらえることが何よりも嬉しいし励みにもなる」という啓さんの気掛かりはひとつ、栽培者の高齢化のこと。「豊野をナシの産地として維持していけるだろうか」。自身も今年62才。農業一筋に頑張ってきました。挑戦はまだまだ続きます。