長野市農業公社

農は人にあり

牛蒡 宮林克彦さん vol.307

平成25年12月16日掲載

長野市松代町。千曲川が長い年月をかけて耕した肥沃の地が川沿いに伸びています。宮林克彦さんは69才。定年退職後に農業に取組みました。いまの時期はゴボウの収穫に追われています。ゴボウは一度作るとしばらくはその土地ではつくれません。そこでクロタラリアを植えて土壌の改善を図ります。作っている品種は代表品種の滝野川ごぼう。長さは1メートルにもなります。

ゴボウ抜きという言葉がありますが、収穫作業は”抜く”ものではなく”掘る”ものなんですね。ゴボウはいまが旬。収穫は年内いっぱい続きます。

減農薬栽培にこだわり「安心して食べられて、おいしいね、と言われるものをこれからも作り続けたい」と宮林さんははりきっています。

エノキ茸 丸山和紀さん vol.306

平成25年12月9日掲載

長野市鬼無里。鬼無里に生まれ、ここで育った丸山和紀さんは成人してしばらくは鬼無里を離れて働いていましたが、将来の家庭のこと、子育てのことなどを考えて生まれ故郷に戻ってきました。

平成8年に農事組合法人を設立し、翌年に「水芭蕉きのこ園」を創業して、えのきたけの生産を始めました。安くても美味いものをつくりたいと栽培に工夫を重ねています。丸山さんはえのきたけの株をそのまま包装して出荷しています。100グラム単位で包装して販売するのではなく、1株を株分けしないでそのまままるごと包装しています。それによって鮮度が保たれ長持ちするのだそうです。そのための設備更新にも力を注いでいます。

西山大豆 青木倭文子さん vol.305

平成25年12月2日掲載

長野市中条。山姥伝説の山・虫倉山の南斜面にひろがる集落です。青木倭文子(しずこ)さんは3人兄妹の末っ子として生まれました。上の2人が家を出たので倭文子さんが家を継ぎました。両親と一緒に農作業に励んできました。倭文子さんが子どもの頃は1年に6回も蚕をかっていたそうです。秋祭りまでに家中の蚕棚をかたづけるのに精一杯で子どもたちも懸命に働いたそうです。そのころがこのあたりの全盛だったと倭文子さんは振り返ります。

歌人でもあった父・青木照男さんは「種子大豆作り続けて普及せむ国産大豆作れと吾は」「種子大豆作り選ぶは吾が仕事打ち落とすは娘にたのみ」と詠みました。照男さんは93才で亡くなりましたが、倭文子さんは毎日、父親の言葉を思い出しながら仕事をしているそうです。

柿 高橋憲人さん vol.304

平成25年11月25日掲載

北国街道沿いで高橋憲人さんがつくるヒラタネナシ柿。18本の柿の木が橙色の大きな実をつけています。柿は晩秋を代表する味覚です。つやつやした柿色が冬の到来を知らせてくれるようです。

「柿喰へば鐘が鳴るなり法隆寺」と正岡子規が詠んでいます。ふるさとの俳人小林一茶は「渋いとこ母が喰いけり山の柿」と詠みました。ヒラタネナシ柿のそもそもは隣の新潟県が発祥とか。扁平で四角張った形が特徴です。信州新町では自然の気候を利用してヒラタネナシ柿の干し柿が作られています。素朴な味わいが楽しめる自然食品として人気です。高橋さんがつくる柿も近所の人たちが吊るし柿にして楽しんでいます。

野沢菜 小池祐任さん vol.303

平成25年11月18日掲載

国道19号を松本方面へ犀川沿いに車を走らせ、明治橋を渡り、瀬脇の交差点を右折して山方面へ登って行く。しばらく行くと目の前の山の頂き近くに一軒の家が見えてくる。小池祐任さんの家だ。

小池さんが13才の時、父親が42才で亡くなった。それからは兄弟が力を合わせて母親を助けて農業に励んだ。いま、小池さんは毎朝5時半に起床して一杯のお茶をいただく。そしてその日に出来るたっしゃな仕事に感謝する。野沢菜の他に枝豆、ピーマン、ブルーベリーをつくっている。

最近は病気がちになった妻をいたわり、自分の体をかばいながら一所懸命身体を動かすことが毎日のはりあいになっている。

ユーカリグニー 小林賢一・共柄さん vol.302

平成25年11月11日掲載

長野市篠ノ井にある南長野運動公園が近く見える畑で、小林賢一さんと共柄さん夫婦がユーカリグニーを栽培しています。賢一さんは定年後に就農しました。10アールで栽培しているユーカリグニーは今年が2年目。

ユーカリグニーは本来は巨木に成長するユーカリで、畑ではブッシュのように育っていて、シルバーがかった葉が風にゆれています。オースラリア原産のユーカリのなかでも、グニーは日本の気象にあっていて育てやすく枯れにくいといわれています。枝の太いところも細いところも規格の長さに切って無駄無く出荷できるのが特徴です。

りんご(フジ) 立山英俊・真由美さん vol.301

平成25年11月4日掲載

長野市篠ノ井塩崎四野宮。篠ノ井、稲荷山方面を望む高台でリンゴを栽培している立山英俊さんと真由美さん。

笑顔がたえない仲の良い夫婦です。英俊さんをすっかり信頼している真由美さんの安心しきっている表情が印象的です。この夫婦がつくるリンゴならきっと美味いに違いありません。リンゴにもこの人たちの人柄が映るにちがいありません。英俊さんは会社勤めから農業にはいって2年目。両親のあとを継ぎました。真由美さんは嫁いでからはじめて経験した農業です。経験の有無よりもこの2人の仲のよさと農業に取り組む勤勉さがそれに勝る事を教えていただきました。

里芋 (株)カントリーしなの 代表 西村光弘さん vol.300

平成25年10月28日掲載

長野市松代。江戸時代から石垣などにさかんに利用されて来た「柴石」の産地である金井山のちかくで、西村光弘さんは建設業のかたわら、耕作放棄地となっていた畑で「さといも」の栽培をはじめました。

サトイモは5月に植え付けをしたものです。霜がふる直前までが旬といわれています。サトイモで昔話を思い出す人もおおいのではないでしょうか。庄屋さんの家の法事に招かれた村人が食事の作法がわからず、寺の坊さんに相談すると、わたしがやる通りにやればいい、と言われ、膳に出されたサトイモをお坊さんがハシでつまみそこないタタミの上にころがしてしまうと、村人もそれをまねて、皆がサトイモを転がす話です。昔話にでてくる野菜です。

しなのゴールド 滝沢澄夫さん vol.299

平成25年10月21日掲載

長野市篠ノ井の共和園芸農業協同組合は果樹に特化した農協です。現在、組合員は314人。昨年のりんご出荷量は4500トンです。

組合員の滝澤澄夫さんは昭和25年生まれ。親から引き継いだ6反歩のりんご園で夫婦で栽培に取り組んでいます。いま、シナノゴールドが旬をむかえています。ほかにシナノドルチェ、シナノスイート、夏明、ふじなどを収穫時期が重ならないよう、ローテンションよく仕事ができるように作っています。

りんごは1年に一度しかできないもの。毎年毎年が真剣勝負。だからこそ改善と努力を続けて「美味しいりんご作り」を心がけています。きょうも、ひとつひとつの実りに感謝して、やさしく語りかけるようにして収穫が行われています。

花豆 小林一友さん vol.298

平成25年10月14日掲載

長野市戸隠。年間100種以上の農産物を生産している小林一友さんは花豆の栽培にも取り組んでいます。朝3時に起床して18時には就寝する生活を続けながら農業に心血を注いでいます。

山国信州では急傾斜の山腹まで田畑が耕されていることが多い。訪れた人はその風景に胸をうたれ、その美しさと人々の勤勉さに驚かされます。しかし、その勤勉さだけでは耕し続けられないこともあります。体力の衰えやイノシシなど野獣の横行で耕作を放棄せざることもあります。労力と根気さが要求される農業が高齢者にはきびしいことにもなります。

過去の人々の努力の結晶である山村の美しい風景がさらにいまに続く人々の忍耐力と活動力を養い続けています。バイタリティーあふれる小林一友さんもそんな一人です。