平成21年8月24日掲載
長野市北部の千曲川沿いにある赤沼は信州りんごの発祥の地と言われています。たびかさなる水害にみまわれ、洪水の上に実るりんごなら被害が少ないだろうとりんごの栽培がはじまったそうです。
清水久正さんは学校を卒業して以来40年、りんご栽培に取組んできました。農業の難しさに毎年「農業一年生」を実感するそうです。「安心、安全で美味しいものでなければ買ってもらえない」奥さんの佳代子さんと二人で一所懸命ガンバっています。
大阪の生活協同組合おおさかパルコープを利用している方々が清水さんの農園を訪れ、りんご狩りを体験しました。手のひらいっぱいにりんごのいのちを重みを感じ、口いっぱいに実りの旨さをほおばりました。
平成21年8月17日掲載
プルーンの日本国内生産量のおよそ6割が長野県内で栽培されています。長野市二ツ柳の羽田良雄さんは45アールの畑でプルーンを栽培しています。鉄分やカリウム・繊維質を多く含むプルーンは健康食品として人気があります。収穫作業は7月中旬のニューシュガーからはじまりアーリーリバー、スタンレイといくつもの種類を9月中旬まで続きます。
果実の表面についている白い粉のようなものはブルームといい、果実の内部から染み出して、水分の蒸発を防いだり、雨や病気から果実を保護しているものでまったく害のあるものではありません。羽田さんはそのプルームを拭き取ってしまわないように手袋をして慎重に収穫しています。
平成21年8月10日掲載
お盆を迎える頃が 「川中島白桃」の収穫最盛期です。 長野県は山梨県、福島県に続く全国第三位の桃の大産地です。なかでも川中島周辺は県内の三分の一を占める県内最大の産地です。川中島の水はけが良く昼夜の寒暖差が大きい気候の土地柄が桃作りに適しているといわれています。収穫された桃は共選所で光センサーで糖度が計測され、箱詰めされて全国各地に発送されていきます。
いまから50年ほど前、川中島白桃は川中島四ツ屋で故池田正元(まさよし)さんによってこの世に誕生しました。川中島白桃はいまや超ブランド桃ですが、その誕生はこの地域の 農業経済の安定向上と経済基盤をつくりあげたといっても過言ではありません。
平成21年8月3日掲載
大岡・中牧地区で聖澤晋一さんが花卉栽培に取組んでいます。ここもまた激しい過疎化、高齢化の波に洗われている中山間地域で、耕作放棄地の増加と集落崩壊が危惧されています。
そんな古里の地で聖澤さんは12アールの畑でお彼岸とお盆用の菊を栽培しています。お盆にそれぞれの人が菊の一本一本にご先祖様にたいする思いをこめるように、聖澤さんも一本一本の菊に毎日、愛情こめて接し、最高の品質と鮮度で提供できるように気を配り育てています。
いのちの源は土。生命をささえるすべてを蓄え、あらゆる恩恵を与えてくれます。いのちを生む「土力(ドリョク)」という言葉があるとすれば人の「努力」をも生むものかもしれません。耕作放棄地のなかで花が咲いています。
平成21年7月27日掲載
農業一筋50年。七二会大安寺の溝口仁一さんは地元七二会地区の農家らで作る「大安寺百匠倶楽部」の一員でアスパラ、キャベツ、ピーマン、ミニトマトを栽培しています。
いま、畑ではピーマンが濃い緑をピカピカにして育っています。先月末から始まったピーマンの収穫は霜が降りるまで続きます。毎日、早朝の畑仕事のピーマンは800本です。一本あたり1000円の収入をめざしています。
「ピーマンは実が軽く年寄り向きでありがたい。根っから外の仕事が好きで、どんなに暑くても汗をたっぷりかいて、野菜の苗が大きくなるのを見るのがなによりも楽しみで生き甲斐です」。「いのち」を育て「いのち」を育ててもらう。それが農業かもしれません。
平成21年7月20日掲載
鬼無里に住む北澤叶地(やすくに)さんは退職後、奥さんの幸子さんとミニトマトの栽培に取組んでいます。今年で6年目になりますが、最初の3年は失敗の連続だったそうです。いまは美味しいミニトマトができるようになりました。
穫れたものを喜んで食べてくれる人がいて、その笑顔が身近に感じられるほど仕事の励みになることはないでしょう。ミニトマトという「いのち」と向き合ってそれを育て、それを喜んでくれる「いのち」の存在を感じられるって素晴らしいことだと思います。本物の仕事って感じですね。そこから生まれるものは無限。
叶地さんと幸子さんは心寄せ合い、汗流しあい、笑い合って自然豊かな鬼無里に抱かれて「いのち」を育てあっています。
平成21年7月13日掲載
飯綱高原の朝夕に生まれる霧がレタスを育てています。荒井俊行さんは28才。高校時代にアルバイトをした戸隠の民宿のオーナーに「これからの時代は農業がきっとまた陽があたる」とすすめられて農業に就く決心をしました。
朝三時から陽が沈むまで畑で働き詰めています。キャベツを2ヘクタール、レタスを50アール、白菜を30アール栽培しています。「一所懸命に育てても天災にあったり、相場によって値段がかわってしまうことが一番のきがかりですが、お客様との交流があらたな活力になっています」。
農業をとりまく状況は日々変わっていくでしょうが、どんな時も誠実にキャベツやレタスと向き合う荒井俊行さんは長野市農業のたくましい担い手です。
平成21年7月6日掲載
鬼無里美里地区の小林貞美さん、樋口あい子さん、小林和子さん、樋口洋子さんの4人は大の仲良し。若い頃からいつでもいっしょに力をあわせて農業や地区活動に取組んできました。いまは乾燥野菜の普及とエゴマ栽培に取組んでいます。
鬼無里地区は面積の85%が山林で、高齢化率は44%。地区の人たちは遊休荒廃農地の活用してエゴマを栽培して将来はエゴマを鬼無里のブランドにしようと考えています。エゴマは昔から鬼無里の暮らしのなかにあって食用や油をとるためにもちいられてきました。
わたしたちの暮らしをささえている根っこのあたりをもう一度丁寧に掘り起こしてみることが、いま直面している課題へのヒントになるかもしれませんね。
平成21年6月29日掲載
長野市屋島は千曲川が耕した肥沃の地。自然から与えられた豊かな土地でいのちが生まれ育っています。中澤信晴さんは73才。この土地に生まれ、その土地を耕し続けています。キュウリ、ナス、水稲がその主軸です。丸ナス900本の収穫が始まりました。霜がおりる11月まで続きます。
清文さんはこれからの自分の生き方として農業をとらえています。そして農業を通して積極的に自分の人生を考えようとしています。父・信晴さんも、そしてその先代もこの土地でその生き方を貫いて来たのでしょう。順境のときも、逆境のときも。郷土の土地はキュウリやナスを育てるだけではなく、私たちを諭し、鍛え、励ましてくれます。
平成21年6月22日掲載
昨年10月中旬すぎに播いた麦が一面の黄金に光り収穫期を迎えました。有限会社篠ノ井東部の荒川敏夫さんは寸暇も惜しむようにコンバインをフル稼働させて麦を刈り取っています。
有限会社篠ノ井東部は平成19年2月に9人の仲間と立ち上げました。耕作を引き受ける面積は年々に増えて、今年は大麦を16町歩、小麦が4町歩ほどまかされています。年々個人が耕作できなくなってしまうケースが増えています。
長野県の資料によると明治15年の大麦・小麦の作付け面積はおよそ45000ヘクタールです。粉食がよくたべられていたのでしょう。また小麦のおもな生産地は長野盆地の南部でした。主要品種はうどん粉としては最高級な「伊賀筑後オレゴン」だったそうです。
平成21年6月15日掲載
6月に入り、JAながの さいがわ営農センターでは小梅の選果作業がピークをむかえました。長野県は小梅の生産量が全国第一位ですが、なかでも西山周辺は北信地域でもっとも多く小梅が栽培されています。
今年はすでに210トンもの小梅がここに集まって来ています。(6月10日現在)集められた信州新町、西山地区、西部地区の小梅はここで選果されて山梨県や神奈川県などに加工用として出荷されていきます。
竜峡小梅は粒揃いがいいのが特徴。昔から大切に守り育てられてきました。生産者の高齢化による産地維持が危ぶまれていますが地域が一体となって総力を結集して中山間地の特産品としてさらなる市場開拓に取組んでいます。
平成21年6月8日掲載
松代清野でトマトとキュウリを栽培している両角邦夫さん(65歳)は高校卒業以来この道をひとすじに歩んできました。いまは7アールの土地で朝5時から夕方まで毎日トマトとキュウリと向き合って暮らしています。
身土不二ということばがあります。身体と土地とは分けることができない。わたしたちの身体にとっていちばん良いのはいま住んでいる土地で収穫したものをいただくことだという意味だそうです。まさに地産地消ですね。日々の生活で謙虚に誠実に取組んでいる人がつくるものに間違いはないと確信できます。
両角さんのハウスでは近くを通る電車の音がこれから向かう外界の様子をキュウリに優しく語っているようです。
平成21年6月1日掲載
松代清野のハウスでは、柳沢秀行・けさ江さんがトマトの収穫に追われています。柳沢さんが育てるトマトは「樹熟トマト」。すっかり熟すまで木で育て、熟すと同時に収穫し、その日のうちに農協のスーパーの店頭にならべます。
柳沢さんはおよそ3反歩でトマト「桃太郎」を栽培しています。高校を卒業以来、トマト栽培ひとすじに取組んできました。2月中旬に定植したものがいま最盛期を迎えています。トマトは800度を超えると熟しはじめるといいます。20度の日が40日で収穫時というわけです。糖度は赤くても青くても同じ、だんだんと旨味が重なって収穫時をむかえます。
篠ノ井のJAファーム瀬原田店に柳沢さんの樹熟トマトがならんでいます。
平成21年5月25日掲載
松坂信義さんは平成19年3月に仲間とともに株式会社菜加田を設立しました。そして松代清野など市内南部を中心に遊休農地を借り入れて本格的な野菜生産をスタートさせています。現在5ヘクタールでタマネギやキャベツなどを栽培しています。
ちなみに「菜加田」は「野菜を加工する田んぼ」の意味がこめられていて、設立メンバーはみな個性が強い50代の男たちです。こだわりは作業するスタイルにもあり、まず服装はかっこ良くがモットーです。そして土曜日、日曜日にすっかり休める労働環境の実現に取組んでいます。もちろん農薬の使用回数を減らして、より安全な野菜の生産を目指しています。
もうじきタマネギの収穫がはじまります。
平成21年5月18日掲載
市内篠ノ井山布施で活動する「山布施地域はたらく女性の会」は地元の農業女性ら20人で2005年に発足したグループです。地域の小学校通学路沿いの整備からスタートして遊休農地の改善に取組んでいます。いままでに2ヘクタール(35枚の田)を整備してきました。そしてその遊休農地にアブラナを栽培して「菜種油」の商品化に取組んでいます。
昨年は収穫したアブラナから200ミリリットル瓶で190本の菜種油をしぼり、その手応えをつかみました。「油菜種を手作業で播種、育成中は農薬不使用で栽培した油菜種をしぼった食用油です。香ばしいかおりが特徴で、ドレッシングとしておすすめです。」
山布施の「なたね油」は遊休農地から生まれた新たな“いのち”です。
平成21年5月11日掲載
市内松代清野で花卉栽培に取組む中澤忠實さん。この道40年のプロです。根っから花が好きで、なかでもブブレアムがお気に入りです。「ブブレアムは自ら目立とうとしないでそばにある花を引き立たせるんです。脇役の美学というか、そこが好きです。」と語る中澤さんは自分の信条をブブレアムをして語っているのかもしれません。
中澤さんの花卉栽培は少量多品目。年間通して30品目を育てています。「人間と同じで花にもみな個性がある。野菜は旨くなければならないと同じで、花はきれいで個性がなければいけない。また、野菜は世界各国調理する方法が違うが花の姿形や美しさは万国共通。そんな花と仕事ができる幸せが働きがいでもあります。」
中澤さんはことし80歳です。
平成21年5月4日掲載
今年は鬼無里イヤー。キャッチコピーは「おでやれ鬼無里」。ブナと水芭蕉、そして民話の里である鬼無里の人々が自らの風土が持つ魅力をさらに掘り起こし今を生きる人と地域の絆を作っていこうとしています。
長野森林組合鬼無里事業所に関わる人たちが中心になって「ロハス茸菜里」の活動がスタートしました。農林産物を通して山村と都会の絆をつくろうと“きのこのオーナー”を募集したところ、募集定数を超える大反響。きのこの駒打ち体験作業におよそ120人が集まりました。原木はナラとハンノキ。これにドリルで穴をあけ、ナメコとヒラタケの菌を打ち込みました。もしかするとヒラタケは今秋にも収穫ができるかもしれないそうです。楽しみですね。
平成21年4月27日掲載
長野市内の女性5人が地元の地産地消の確立を目指し、農業後継者を育てたいという思いから「里芋つくり隊」を2007年に結成しました。。日常のつらいことやいやな事をいっとき忘れて楽しい会話ができるのも会の魅力です。
里芋は消毒に気を使うこともなく、その実のなり具合が縁起がよく、体に良い野菜です。この日は友人知人に声をかけたところ20人以上の仲間が集まりました。そして、およそ1500個の里芋を植え付けました。10月の収穫祭が楽しみです。「里芋は田植えの声が聞こえないと芽が出ない」といわれ5月の下旬頃に芽が出ます。
「さといもワォー ごろごろワォー たくさんとれました・・・」というテーマソングをつくり前向きな仲間づくりを進めています。
平成21年4月20日掲載
鬼無里の鬼無里酒米生産組合(中村公明組合長)は平成14年から酒米の栽培に取組んでいます。鬼無里は水と緑が豊かな土地。酒米生産組合はその清らかな水を利用した安心で安全な酒米栽培を通して鬼無里の農業振興と地域の活性化を図ろうとしています。
現在の組合員数は15名。一般米より一回り大きな「ひとごこち」という酒米で心白が充実した大粒の米をつくる研究を重ねています。今年の耕作面積は鬼無里全体で2町2反。醸造する酒は「ブナと水芭蕉の里・鬼無里」にふさわしく「水芭蕉」と名付けました。地域の文化のように奥深い風味と中村公明・利子さんのような穏やかでまろやかな口あたりが評判です。
5月23日(土)には鬼無里美里地区で酒米のお田植え祭を開催します。
平成21年4月13日掲載
NPO飯綱高原よっこらしょは2年前に、遊休農地の改善とより細やかで濃密な地域の結びつきをつくろうと飯綱高原に住む皆さんによって設立されました。出身地も職種もさまざまな人々が集まり個性豊かで活発な団体に成長してきました。
その掲げる事業目標も多様で、遊休農地の再生と活用をはじめとして、自然を活用した環境教育、森林整備、農業を介した都市と農村の交流など農地を守り、人を育て、未来の子どもたちに残せるものをつくろうとしています。
土を耕し夢を拓く。この春からは近くのホテルアルカディアといっしょに「土・森・水・人とつながる スローライフツアー」を企画しました。
平成21年4月6日掲載
長野市若穂保科。地元の農家の仲間三軒が手を取り合って昨年9月に「信州ほしな食彩園」をたちあげました。たのしみつつ自立する農業をめざしています。
春のレタスから春掘り長ネギやそのまま食べても塩味がするアイスプラントなどなるべく多くの野菜栽培に挑戦し、7月からはプルーンやぶどう、りんごの栽培に取組み、安心で安全な野菜・果物を直接消費者の手元へ届けようと張り切っています。
また、5月31日から8回シリーズで小学生の親子を対象とした食農体験教室を計画しています。野菜やりんごの栽培体験。収穫した農産物や地域に伝わる行事食などの調理体験。食べられる野草の採取や野遊びクッキング体験など多彩なプログラムです。
平成21年3月30日掲載
長野市大岡で循環型農業を実践している農楽里ファームは「伝統的な農村の暮らしや農法を続けて農村風景を生きた形で引き継いでいくこと、その価値を認め支えていく人の環を作っていくことを同時に進め、都市住民1人あたり1畝の農地とそれを囲む傾畔や山里を支えていく仕組みを作る」プロジェクトをスタートしようとしています。これは「都市住民1人1畝で中山間地集落の農地を保存して、穀物自給を視野に入れた集落運営」を目指すものです。農楽里ファームで生産されたものは東京や地元長野市内の自然食レストランに直売しています。
まったく経済的に不利な中山間の地域でも集落が形成されて人の絆によって維持されてきました。いかに我が古里、我が集落という意識をふたたび持ち得るか、農楽里ファームは挑戦しています。
平成21年3月23日掲載
長野の青果物流通をささえる長印長野松本ホールディングスは平成18年に長印ながのファームを設立して地域農業の活性化に挑戦しています。エムウェーブが近くに見える大豆島地区のおよそ6ヘクタールの土地を確保してレタスなどを栽培しています。いまはその定植作業に追われています。
「わが社の母体が市場なのでお客様の要望にそった売れるものの栽培が基本です。売れるものづくりを地域の皆さんといっしょにやって行きたい。近くを通りかかったらぜひ声をかけてください」(若林社長)。
地元で生産された青果物を地元で消費するという「地産地消」を基本に地元に根ざした新しい感覚の農業システムの構築を進めています。今年からスイートコーンの栽培も計画中です。
平成21年3月16日掲載
長野市大岡はのどかな山里です。晴れた日は美しい棚田と北アルプスが一望できる高台に大岡温泉があります。田浦哲さんは2007年にアグリカ大岡を立ち上げて、大岡温泉を拠点にして農業に取組んでいます。
・農業の伝統を知り未来に発展させる・農業を基盤とする活動を通して地域社会に貢献する・農業を通じて、生産者と消費者が協力し合える社会を実現する、を活動の理念としています。
そして今春、地元にNPO法人を立ち上げて農業を中心にすえた地域活動に取組もうとしています。「皆でズクを出し半歩でも進み、一寸背伸びして手を伸ばし、少しずつ希望を実現していきましょう。より高い夢の実現は、より大きな喜びがあると言われています。そんな喜びを皆で味わいましょう。農業生産者と都市生活者が協力して作る文化の形成を目指します。」
平成21年3月9日掲載
長野市北部、主要地方道長野信濃線沿いに坂中集落があります。標高650mの典型的な中山間地です。3月8日、坂中直接支払事業グループと浅川遊休農地活性化委員会、JAながの女性部吉田支部のみなさんが、みそたきをして1年分のみそを仕込みました。昔から、みそたきは隣近所が手伝い合うにぎやかな春の行事でした。地元の遊休農地7アールで栽培した大豆を丁寧にあらい、25キロずつ8つの釜で半日かけてじっくり煮て、ふっくらとした豆に糀、塩、煮汁を加えてよく混ぜて、かたくかためて樽につめます。
野菜などがいっぱい入ったみそ汁は家族だんらんの食卓で大切なおかず。斉藤義信さんら坂中直接支払事業グループは遊休農地を防止する活動など、今は集落を離れている子供たちがいつでも故郷へ戻って来られるような地域づくりに集落一丸となって取組んでいます。
みそ汁はふるさとの味。ふるさとはいつでも待っていてくれます。
平成21年3月2日掲載
長野市豊野の「とよの農産加工グループぽむ・ど・まむ」は地元でとれた材料をつかった製品づくりに取組んでいます。地元の主婦ら7人が一昨年の12月に立ち上げました。
一番人気の「かぼりん」のほか、「りんご入りマドレーヌ」「りんごグラッセ」「りんごジャム」「一口まんじゅう」を手作りで作っています。その材料のカボチャ、あずき、りんごなどは地元でとれたものを使っています。また保存料など添加物はいっさい使っていません。「地産地消、添加物ナシ、まぜものナシ」がメンバーの自慢です。「かぼりん」はカボチャとあずきをリンゴジュースで練り込んでつくっています。一個120円で隣の豊野温泉りんごの湯やアグリながぬまで販売しています。
「ぽむ・ど・まむ」は「りんごのかあちゃん」の意味とか、とことん地元にこだわっています。
平成21年2月23日掲載
長野市若穂綿内春山にエルエー春山(LA春山)有限会社が野菜を育てている農業ハウスがあります。代表は望月美代子さん。平成8年に地元の女性だけの仲間4人で起業し農業に取組んでいます。
女性だけで農業をやろうとしたので、レディースのL、アグリカルチャーのAに地名の春山をつなげて会社の名前にしたそうです。いまでもスタッフはほとんどが女性の11名。ハウスの広さは3反歩。起業当時からサラダ菜を栽培して来ましたが、いまではクレソン、ミズナ、ミツバが加わりました。収穫作業は午前中に行い、とれたばかりのサラダ菜の一つひとつを袋につめて出荷します。
「やればできる」、地域の農村女性の起業が農業と地域に活力と自信をもたらし、農村女性の古いイメージから脱却した姿がここにあります。すべては「人起こし」がスタートです。
平成21年2月16日掲載
長野市青木島町に宮下敏郎さん(54)と美穂子さんがチンゲンサイを育てているハウスがあります。敏郎さんは農家の跡継ぎとして脱サラし、平成12年に15アールのハウスを建設してチンゲンサイ、小ねぎ、レタス、アスパラ菜の水耕栽培に精力的に取組んでいます。
冬の12月から4月まではチンゲンサイの収穫に毎日追われています。チンゲンサイの生育期間は小ねぎのほぼ半分の50日。「チンゲンサイは短期間で計画的に栽培ができ軽量で温度管理も楽です」。宮下さんは毎日、200グラム入りの600袋分を収穫、出荷しています。そのおよそ4割は地元の農協で、6割は長野市を中心としたスーパーで販売されています。県外に出荷されていない本物の地産地消のチンゲンサイです。
スタッフはパートさん4名と家族3名の7人。ハウスは家庭的な笑顔があふれています。
平成21年2月9日掲載
長野市篠ノ井東福寺。長野オリンピック開閉式会場になった南長野運動公園の近くに竹内保智さんと裕子さんがイチゴを育てているハウスがあります。
農家の長男である保智さんは長野オリンピックが開かれた年の秋、それまでの会社勤めをやめてイチゴ栽培に取組みはじめました。ハウス内は水耕の二段の立体栽培になっていて清潔な環境が整い適温に保たれていて雨や雪の心配は無用です。1万1千株のイチゴ(章姫)がきれいな水とたくさんの太陽の光を浴びてすくすくと育っています。収穫は朝、気温が低いうちにひと粒ずつ丁寧に手摘みをします。夫婦ならではの息のあった共同作業です。
人間のつくり出すものにその人の感性が伝わるように、竹内保智さんと裕子さんのおだやかな人柄が自然の恩恵に助けられながら「イチゴのいのち」を育んでいます。
平成21年2月2日掲載
長野市篠ノ井。住宅に囲まれるようにしてアイ農場の小松菜栽培ハウスがあります。
山岸良子さんが小松菜をつくりはじめたのは平成13年。小松菜はアクがなく茎も柔らかくカルシウムがたっぷりな人気の野菜です。どんな料理にも便利ですが、サラダでいただく生の小松菜はシャキシャキとした食感が楽しめます。山岸良子さんのハウスは水耕栽培です。ハウスの中は水の音、緑の香り、太陽の光、すくすくとした緑に包まれて「野菜の力」を実感できる別世界の居心地。8時半から女性だけの総勢6人で収穫作業、そして午前中に出荷作業。土曜日、日曜日は休み。「女性だけで家庭の仕事と両立させながらやっていきたい」と山岸さんは「農業のある暮らし」と楽しんでいます。
アイ農場の小松菜は地産地消。地元のスーパー、学校給食で地域とつながっています。